#5 雨のフリーウェイ

Oct.05 _1

ロサンゼルスは1年のうち360日晴れる。だから街に傘が売っていない。っていう冗談を聞くけど、傘は本当に売って無かったな。

朝、目が覚めると5/365の日だった。

8:10am出発。
今回初のフリーウェイなんだけど参ったな。しかも初っ端の合流がちょっとトリッキーときた。
I-5(ゴールデン・ステート・フリーウェイ)からI-10(サンバーナディーノ・フリーウェイ)への合流。
北から南へ下るからサンバーナディーノ方面(東)は左なのに左はサンタモニカ方面、右がサンバーナディーノというフェイントの二股がすぐに現れる。
事前に聞いていたけど、強い雨の中どちらも「San」で始まるもんだから焦るね。



ただこの合流を過ぎると雨が幸いして比較的安心して走れた。
雨に慣れていないLA市民は車間距離を取り法定速度をかなり下回る50mph走行だったから。
車検が無いので坊主タイヤも結構いるのかもしれないね。
友人のアドバイスでは雨が降ると事故が多いので巻き込まれないようになんて言われたけど、本当だった。
I-10では追突事故、I-15は登り坂なのに複数台の横転事故が・・・。
あれは事故直後みたいだったのでタイミングが悪かったら2日目で旅が終わるところだったよ。


ところで、I-15はメキシコとの国境の街サンディエゴから始まる。
I-10と交差するオンタリオからなら3時間半も北上すればラスベガスだ。
さらに行けばソルトレイクシティ、その先にはイエローストン国立公園、そしてカナダ国境までアメリカ西部を南北に貫く第一級インターステートだ。
こんな説明するとさぞや素晴らしい高速道路と思われるかもしれないが、実状はI-10も15も結構くたびれている。
路面の水捌けは悪く水煙でセンターラインが見ずらい。照明も殆どないので夜雨が降ったら前の車だけが頼りになる。もちろん無料なので文句言っちゃダメか。
こんなところひとつ見ても日本は凄いなと思うわけですよ。どの高速だってライト消しても全然走れるでしょ。

I-15はカホン(ケイジョン)峠で海抜1000mを越える。
この峠は2段重ねのコンテナを2km以上連ねた貨物鉄道BNSFも一緒に越える。
1両の動力車では足りないから前2両後ろ2両みたいなことになっているいかにもアメリカらしい鉄道だ。
(貨物の長さを1/4にして1両で引っ張るのはダメ?なんて考えてはいけないのだ)
旧サンタフェ鉄道の軌道を行くこの鉄道は旧国道66号線(Route66)と並走しており、この後5日間、化石の森国立公園の先チェンバースまでずっと一緒だった。

雨雲はこの山を越えられないらしく、アップルバレーの手前で雨は上がり、やがて陽が差してきた。
雨の届かないこの場所からモハビ砂漠が始まるという訳だ。

ところで、いま目指しているのはバーストー(Barstow)。
I-15 ラスベガス方面と I-40 グランドキャニオン方面への分岐になる街。
サンタフェ鉄道の時代から現在まで続く鉄道の要所でサンタフェ方面の他にラスベガスを通る貨物路線(非BNSF)もある。
バーストーを超えると街は極端に少ない。地図でTownと記されていても郵便局が1軒なんていうのは当たり前。中には荒涼とした風景に交差点だけしかない「Town」もあるから地図を見ていても通り過ぎてしまう。
当面の水や食糧などはバーストーで仕入れることにしよう。もちろんガソリンも。

バーストーに着いたのは11amごろ。


これはアメリカ的100円ショップ。ほとんどのものが¢99だから現在のレートで80均か。
デリ(お惣菜)も 含め食べ物がたくさんあって助かった。
とりあえずパン、マフィン、チーズ、プチトマト、各種缶詰、飲料水などを買った。ここの水は余所より$1安い。500mlのペットボトル35本で$2.99。1本10円しない。


ちょっと早いけど昼飯。今回は食べることにプライオリティーを置いていない。
助手席にすぐ食べれる物を並べ食べれるときに食べる。浮いた時間で寄り道したり、国立公園のトレイルを多めに歩いたりしたいからね。
バナナはちょっと堅かったが、そういうものらしい。
すぐ食べるためのバナナと、食べ頃まで何日か寝かせるためのバナナどちらも売っている。

LAXからの走行距離は173マイル。まだGASは半分近く残っているけど、ここはアメリカ。そしてこれから本格的な砂漠地帯に入る。半分を切ったら最初に出てくるガスステーションで給油するぐらいがいい。
とは言ってみたものの、アメリカで給油したこと無いんだよな。カードで払うか、現金で払うか。どうしようか。

僕は好き好んでこんなところに来ている。日本だって東京や京都だけが本当の日本じゃないでしょ?
そう。リアルなアメリカにハマりに来たんだよ。
だったら不自由な言葉でもアメリカ人と話をしないともったいないね。

バーストー。最初のGASステーションでのやり取りがとてもよかった。
「キャッシュで入れたい。どうすればいい?」と変な英語を話す外国人に店主は簡単な説明をした後「日本人か?」と聞いた。
そうだと答えると「お前の英語は大丈夫だよ、それより入れ終わったらちゃんとチェンジ(釣銭)を取りに戻ってこいよ」って。

現金の場合、初めに店内(併設するコンビニのレジカウンターなど)で給油機の番号伝え、現金を支払うと給油機を使えるようにしてくれる。
満タンにしたいなら少し多めに払っておいて給油後釣りを取りに行くスタイル。
でも、もしこのチェンジを貰わずに走り出したらもう戻ってこないと思った方がいい。たぶんチップ扱いだろうな。

セルフのコーヒーと釣銭を取りに戻ると「お前の家は地震で大丈夫だったか?津波は?家族は無事か?」と・・・。
興味本位で訊いていないことはことはすぐに分かる。
震災直後、九州出張があったけど、その時かけていただいた言葉(心)と重なったから。

店を出る際に「ありがとう」と言うと「You're welcome!」が返ってくる。
「どういたしまして」「毎度ありがとうございます」的な意味なんだけど直訳は「あなたを歓迎するよ」。
僕はこの言葉が大好きで、アメリカ(人)のポジティブな部分がすぐに理解できるフレーズだと思っている。




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