#4 マーロウな夜と伝説のレストラン

サンタモニカの桟橋で時間を使いすぎた。
サンタモニカブルーヴァードがまだ明るければRoute66の雰囲気を味わえたかもしれない。
でもI-405(San Diego Fwy)を越える前の渋滞で完全に夜に・・・。
面白いもんで、暗くなるとまったく別のイメージが浮かんでくる。
いま止まった信号はN. Rodeo Driveを横切る交差点。右に曲がればビバリーヒルズの商業地区でも別格のロデオドライブ。
ここに自分の店を構えることが、その道の人間にとって最高のステータスなんだそうだ。
この先3マイルも進むとハリウッドの地名が出てくる。
ハリウッド。僕にとって映画の都というイメージのほかにもうひとつある。


映画のほかに浮かんでくるのは‘30~‘40年代のこの街が舞台の探偵小説だ。
2ブロック北にサンセット・ブルーヴァード。もうひとつ先には主人公が事務所を構えたハリウッド・ブルーヴァード(今は賑やかなコダックシアターの通り)がある。
架空の所在地はハリウッドブルーヴァード カヘンガ・ビル615号室。カヘンガで探したらハリウッドブルーヴァードと交差するCahuenga通りをすぐに見つけることができた。
ストリートビューでハリウッドブルーヴァードとノースカフェンガブルーヴァードの交差点付近を見てみたら実際に6階建てのビルディングが在った。チャンドラーが執筆した当時にこの建物が存在したなら、きっとこれがモデルになったんだろうと想いを馳せるわけですよ。

小説の中で描かれるこの街は夜のイメージが強い。
70年の時間差はあるけど、東京ほど明るくないハリウッドの夜に小説の世界を重ねてドライブした。
小さいことかもしれないけど、こんな経験の積み重ねが僕の血や肉になり旅の意味に深みを与えてくれる。

さて今夜はダウンタウンにある友人の経営する「民宿」に泊まるんだけど、こっちに着いてからまだ連絡してなかったな。iPhoneが一度もWiFi捕まえないんだからしょうがないか。と、ここで言い訳しておこう。

ロサンゼルスの中心街(ダウンタウン)をどう定義するかは知らないけれど、個人的には I-110 (州道110号線でもある通称One-ten) × I-5 × I-10 の3本で囲まれた洋ナシ状エリアをダウンタウンだと思っている。
ドジャースタジアムの南からこのエリアに入って来たのは20時ごろ。一応サンタモニカからRoute66をトレースし続けている。
ロサンゼルス発祥の地、オリベラストリートを左に曲がり、9セントコーヒーのフィリップ(下にリンクあり)交差点で変則的な右折。ノースメインストリートに入る。
予定より遅めに到着。夕食を一緒にと約束していたので、おなか空かせちゃったかな。

実はLAスペシャリストの彼らに「なんか変わっていて美味しくておもしろいモノが食べたい」とリクエストしていた。
そしたら4つの候補を用意してくれていたんだけど、どれもおもしろいので紹介します。


1.The hat
LA発祥のフレンチディップサンドウィッチを出す店。元祖ではないけれど、パストラミの量はいちばん多いと思われる。
これをサンドウィッチと呼べるのか否か、もやは肉料理。

2.Cole's
こちらもフレンチディップの店。ハットに比べ、ちょっと上品なイメージかな。
フレンチディップの元祖と名乗り出ているのがこのCole'sと、9セントコーヒーのPhilippe The Original
Cole'sではフォレストガンプでダン中尉とニューイヤーで再会するシーン、そしてその後のパーティーのシーンが撮影されていると教えてもらった。

3.Jerry's Famous Deli / Studio City
Studio Cityのボウリング場「PINZ」に併設するレストラン。ユニバーサルのお膝元だけあって有名人も多く来店するそうだ。
PINZにはシャキール・オニールのボウリングシューズがあるらしい。ちなみに彼の足のサイズは40cm以上だって、ホントかな。

4.Bob's
世界展開するBob's BIG BOYの1号店。うちの近所にもあるよ。
ディズニーやワーナーのアニメーターたちが食事の合間、Bob'sのナプキンでポンチ画を描いていた話や、ビートルズの4人がハリウッドに来る度にここで(いつも同じボックスシートで)4人そろって食べてたとか。
そんな伝説の店なので、アメリカ人が「もしカリフォルニアを訪れる機会があったなら、ぜひ行ってみたい」と思う憧れのレストランなんだそうだ。


溢れるパストラミも、PINZも魅力的ではあったけど、「アメリカ国民が憧れるレストラン」。これで決めた。

キーファー・サザーランドがダブルデッカーをやっつけるところを隣りのシートで見れるかもしれないというミーハーな淡い期待があったことは否定しない。

それから、案内されたのがたまたま“The Beatles Sheet”だった。
とくに何かが書いてるわけじゃないんだけど、それがまたいいね。


オーダーしたのはオリジナルチリのダブルデッカーバーガー。
$8.99でサラダもついておなかいっぱい。
Taxとチップ込みでひとり$12ぐらい。

レストランのチップは、よく料金の15%なんて書いてあるのを見るけど、15%を計算して置く必要はありませんね。
例えばTax込み$12.49だったら$14でも$15でもいいんじゃないかな。

あとレストランはテーブル会計ばかりかと思ったけど、ここではレジで支払った。
どっちもアリなのかな。


〔本日のルート〕 LAX ~ サンタモニカ ~ ハリウッド ~ ダウンタウン
〔走行距離〕 30マイル
さて、明日はいよいよ砂漠エリアに突入します。




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